私のためを想うあなたが今日も愛おしい

「ぼぼぼ僕と一緒に、花逍遥しませんか!!!!!」

 恋人からの、らしくない丁寧な口調で、いつも通りの大きな声で、そして差し出された手に、私が目を丸くさせるには十分な理由だった。

「聞いているのか人間!!!!!あ、いや、れれれレディ?」

 色白の顔をこれでもかというほど真っ赤に染めては一生懸命に話すセベクの姿に、私はぽかんと開けそうになる口を閉ざす。そして、とんでもないセベクの姿を見せつけられた1-Aの面々の複雑な内心を思いながら私は真っ直ぐにセベクを見つめ返した。

「はい」

 私の返事に、セベクがあからさまに喜びを露わにさせた表情で私の手を取る。

「よし!!!行くぞ!!!」

 そして、先程までの丁寧な口調は何処へやら、いつもの自信満々の強引な態度で私の手を引いたまま私を1-Aの教室から連れ出したのだった。勿論、微妙な表情を浮かべた私のクラスメイトなんぞ、セベクの視界には入ってなかった。


 セベクに連れられてやって来たのは植物園だった。セベクは怖い顔のまま目的もなく植物園の中をぐるぐる歩いて行く。やがて、セベクの足がぴたりと止まる。それから私に振り向いては苦い表情を浮かべた。

「すまない。僕は、女性をエスコートなんぞしたことがないから、おまえのことを退屈させているのだろう。付き合ってから、ずっと」
「エスコートし慣れてたら逆に怖いけど」
「いや、しかし、」

 むむむとますます苦い表情を浮かべていくセベクの姿に私は首を傾げつつも、繋いだままになっているセベクの手を握り返した。その瞬間、ハッとしたよう私と目を合わせるセベクに、私の頬が自然と緩んだ。

「私のことを一生懸命考えてくれて嬉しい。ありがとう、セベク」
「な!!!??ぼ、ぼぼ僕は、その、」

 しばらく謎の呻き声を上げていたセベクだったけれど、やがて、深く息を吐いた。それから顔を赤くして照れたように笑ったのだった。

「リリア様が心配してくださっては色々とご指導してくれたが、僕とおまえの愛し合う仲なら大丈夫だな」

 突然のセベクからの真っ直ぐすぎる言葉に私の顔がボッと音を立てて赤く染まる。そんな私の顔をセベクがどうした?と覗き込んでくるが、私は何も言えなかった。
 言うなれば、ある意味、これがセベクの私に対する必殺技なのかもしれない。

written by Luca
2024.01.08