まだまだこれから


※学パロ&吸血鬼パロです。苦手な方はご注意を!

 二人が同時に覆いかぶさってきては小さな悲鳴をあげた。

「な、にしてっ……」

 必死で押し返したのだが男子二人の体重に敵うはずもなく、あっけなくそのまま問題集が並ぶ棚へ押し付けられた。二人が左右の首にそれぞれ近づいてきたかと思った瞬間、首筋に痛みが走る。
 訳がわからなくて声を発することもできず、ただただ怖くて早く終わってほしかった。そして何よりも一番恐怖したのは、その痛みが段々と甘い疼きになっていっていることである。

「や、だっ……こわ、い……」
「……そういうの、逆効果だろ……なァ?エース」

 サボは首筋から一旦顔を上げると、悪びれた様子もなく挑発的な視線をエースに向けた。問われたエースも一度顔を上げて、にやりと笑う。と、そのときは二人の口元からのぞく鋭い"何か"――牙を見つけて目を見開いた。

 鎖骨を黒髪と金髪がさらさら撫でている。くすぐったさと肌に穿たれる牙の痛みとで、は身をねじりながらされるがままだった。時折深く突き刺さるたび、体は震え上がり声も抑えられない。
 そしてその反応を愉快そうに見て楽しんでいる二人は、強弱のつけ方も絶妙だった。痛いのに、同時に快感も襲ってくるのはなぜなのだろう。
 短い呼吸を繰り返しているそばで、ふとしゃがんで不審な動きをする金髪が視界の隅に映る。
 サボの顔はいつの間にかの脚に割って入ろうとしていた。

「あっ……う、そ……や、っ……」

 拒否する隙も与えられず、サボはの太腿の付け根にかぷりと牙を差し込んだ。脚を無理やり開かされて羞恥心でいっぱいのはずが、突然の甘い痺れに声を上げる。
 その快感に思わず腰を浮かせてしまったをすかさず押さえつけたのは、冷めた目を向けるエースだった。まるでサボへの対抗心だとでもいうように、彼は唇をゆっくりと胸元へ滑らせていく。

「まさかこれで終わりなんて思ってねェよなァ?」
「おれたち腹減ってんだ、まだまだ足りねェよ」

 埃っぽい教材室の一角で、二人の吸血鬼が妖しく笑っていた。