バレンタイン当日模様


 午後、訓練中のサボ達のもとへ向かったフレイヤ
「些細なものですけど、味には自信があるので皆さんで食べてくださいね」
「あ、例のやつですね。ありがとうございますいただきます」
「コアラちゃんと一緒に頑張ったので、彼女にもあとでお礼をお願いしますね」
「わかりました」
「じゃあ私はこれで」
「あれ、総長には会っていかなくていいんですか? もう少しで手合わせ終わると思いますよ」
「いいんです、夜会いに行きますから。なのでもう一つのほうはまだ黙っててもらえますか?」
「……! もちろんです!」


*


「総長。こちらフレイヤさんとコアラさんからで、ちょこれーとって言うらしいです」
「二人から? 珍しいな」
「なに言ってるんですか。バレンタインですよ」
「ばれんたいん……?」
「ほら、先月話したじゃないですか。そのときが来たらわかるっていう話、それがこれです」
「特別な相手に菓子や花を贈る文化って聞いたけど、それと一緒に愛や感謝を伝える日でもあるそうですよ。特別な相手に贈り物をするなんて洒落てますよね〜コアラさん曰く、毎日頑張るおれ達への労いだそうです」
「へェ……」
「なんですかその不服そうな顔」
「あ、もしかして特別な相手って部分とフレイヤさんからって部分を無理やりつなぎ合わせてません? どうしてすぐそういう発想するんですか、これは労いだって言ったでしょう」
「違ェよ。そこはまあ……いい」
「じゃあなにが……あ、もしかして特別な相手=自分のはずなのにどうして部下達と一緒なんだって思ってます?」
「……」
「総長って急に年相応になりますよね」
「うるせェなァ」
「はいはい。そんな総長に伝言です。"夜、会いに行く"、だそうですよ」


*


「ねえ。どうして不貞腐れてるの?」
「別に」
「別にって顔じゃないよね。言ってくれなきゃわからない」
「……」
「サボ」
「っ…………バレン、タイン……」
「え?」
「特別な相手に贈り物をする日なんだろ? なんであいつらと一緒なんだよ」
「……もしかしてそれで拗ねてるの?」
「わりィか」
「ふふ。なんだそういうこと」
「笑うな」
「紛らわしいことしてごめんね。もちろん、サボには別でちゃんと用意してるよ。はいこれ。驚かせたくて黙っててもらってたんだけど、逆効果になっちゃったね」
「おれに?」
「もちろん。サボだけのために作ったものだよ」
「そう、か……」
「機嫌直してくれる?」
「あーくそっ……かっこ悪ィな」
「サボはたまにかわいいよね」
「嬉しくねェ」
「前もそんなこと言ってた。もういいでしょ、早く開けてみて」
「…………これ、前にも見たことあるやつだ。あのときは一色だったけど、今日はすげェいろんな色があるな」
「マカロンっていうの。贈るお菓子には意味もちゃんとあるんだよ」
「意味?」
「うん。マカロンはね――」
 サボに近寄って、そっと耳打ちする。
「……わかった? 私は今も昔もサボが一番だよ」
「……ありがとう。すげェ嬉しい」


※マカロン=「あなたは特別なひと」
ケーキと迷ったけど、さぼたんがあるのでバレンタインはこっち。
以前抱き心地の話に出てきた差し入れはフラグです、ちゃっかり試作品を味見してもらっていたフレイヤでした。