聖なる夜、愛する人と
盛大なパーティーを終えたあとも、今日だけは飲み明かすと言って中庭で騒いでいる仲間を置いてきたサボは、片付けをするために一足先に食堂へ戻ったフレイヤの元に向かった。しかし、料理長から「フレイヤちゃんなら外に行ったぞ」と言われて城外に急ぐ。
今夜はクリスマスという一定の地域でのみ行われる日だ。厳密には時間が決まっているらしいが、細かいことは気にしなくていいだろう。子どもたちも含めて大宴会を開いた革命軍は平穏な時間を過ごし、来たる戦いに備えている。
カマバッカ城を出ると、はらはらと雪が舞っていた。かなり冷え込んだらしい。吐いた白い息が外気に丸く浮かび上がった。頭上を覆う雪雲のすき間から見える月が、地上を明るく照らしている。
城を出たすぐ近くの図書館の前に、探していた人物が立っていた。
「ここにいたのか」
「……サボ。雪が綺麗だからちょっとだけ」
マグカップには温かい飲み物が入っているらしく、湯気が立ち込めている。月明かりに照らされた雪とフレイヤが、サボには聖なる夜にふさわしい幻想的な光景として映り、感嘆のため息をこぼした。そして、たまらなく満たされた気持ちになった。
「なァ、フレイヤ。全部片づいたらさ、いろんな国に行こうな」
サボは自由を夢見て、兄弟の誰よりも早く母国を出航した。海賊になることは叶わなかったが、今は世界を変えるべく革命軍として生きている。その使命が果たされたとき、サボはようやく本当の自由を手に入れられると思っている。そのとき、隣にいてほしいのはやっぱりフレイヤしかいない。
「いいね、楽しみにしてる」
「メリークリスマス、フレイヤ。来年もその次の年もずっと一緒にいような」
「うん。私もサボとずっと一緒にいたい」
フレイヤがそっと寄り添ってきたので、サボはそれに応えるように彼女の肩を抱いて同じように頭を寄せた。
目の前をはらりと雪の欠片が横切った。どこか童話の世界に飛び込んだような景色を、二人でしばらく眺めていた。小さくも存在感のある温もりが、何年先も隣にあると信じて。
2025.12.25 たし恋