ボーイズトーク〜初体験後編〜

 ガヤガヤと騒がしい店内。その一角に参謀総長を筆頭とした革命軍の男性陣が居座っている。すでに酒を何杯も呷って、ほとんどの人間が顔を赤くして声高に話していた。

「で、総長」
「なんだよ」
「どうだったんですか」
「……なにが」
「とぼけないでくださいよ。さんとのことに決まってるでしょ」
「お前ら本当にそればっかりだな、うるせェぞ。あとその顔をやめろ」

 久しぶりに男だけで町の酒場に来ていたサボは部下に誘われるままのこのこついてきたはいいが、どうやら飲みたいのは口実でとの休暇の話を聞きたいらしい。前々から彼らは何かとソッチの心配をして事あるごとにいろいろ詰め寄ってくる。大所帯での生活ってある意味苦痛ですねなんて、だから余計なお世話だ。
 こいつらのニヤニヤした顔が癇に障る。完全に面白がっていることが見て取れる表情だ。

「何度も言ってるだろ、お前らに話す必要ねェって。大体おれの話なんか聞いてどうするつもりだ」
「どうするも何も酒の肴にします」
「ふざけんな」
「けどおれ達知ってるんですからね。仕事中ずっとニヤニヤしてたじゃないっすか」
「してねェ!!」
「してました」
「……」
「嬉しかったんでしょ? わかってますよそのくらい。まあ時々気味悪かったですけどね」
「で、さん可愛かったですか?」

 グラスを手にしたまま、部下の口がにんまりと弧を描く。しつこい。どうしてもおれにを語らせたいらしい。
 あいつが可愛いのは当たり前で、けどこいつらに共有する必要があるとは思えない。あのときの彼女はほかの誰でもないおれだけが知っていればいい。とはいえ、こんな町にまで連れ出してくるくらいだ。言わなきゃ言わないで終わらないとも思う。

「だからなんでお前らに言わなきゃいけねェんだ」
「どうなんですか」

 興味津々な野郎の瞳がいくつも向けられて、サボはついに降参した。

「……うるせェなァ。お前らが思ってるより百倍はかわいかったよ。かわいすぎてめちゃくちゃにしないか心配になるほどな」
 実際はなんとか理性が勝ってめちゃくちゃにしなくて済んだのだが。
 先ほどまでざわついていたはずが、サボが発言したその瞬間だけ狙ったかのようにしんと静まり返った。目をしばたたかせる彼らに、今度はなんだとため息をつく。

「急にデレましたね」
「総長って一度好きになった子は絶対に逃さないタイプでしょう?」
「知らねェよ、おれはが好きなだけだ」
「だからそれがさんだったって話です」
「でも総長がついに大人の仲間入りか、なんか寂しいです」
「……お前らおれで遊んでるだろ」
「うわ、熱ちっ……ちょ、ここで燃えるのはマジで危険ですって!」

 こうして革命軍の男性陣の夜は更けていく。

2022/12/11
たし恋見てみたいエピvol.26
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