小さな夜の逃避行

 イグニフェル・インスラを形成する国のひとつ、ルフト王国には四人の王子がいる。次期国王である第一王子、西方地域を治める第二王子、国一番の剣豪である第三王子、そして――容姿、頭脳ともに四人の中で突出している第四王子。彼らは皆、それぞれの長所を活かして国政に携わり、国王を支えてきた。その結果、国民に慕われ、各地でスピーチを依頼されては大勢が集まるという人気っぷりだった。
 しかし、そんな人気の裏で闇の商売に手を出している者もいる。
 ユミル第四王子――ルフト王国きっての切れ者で、次期国王は彼だという噂も国内では上がったが、本人は王の座に興味がないのか兄に譲ったそうだ。精悍な顔立ちの第三王子とは異なり、女性受けのいい目鼻立ちの整った甘い顔が彼の売りで遊び人と周囲からは呆れられていた。
 彼こそ、裏の顔を持つ男――今回のターゲットである。

 王宮舞踏会が開かれている大広間には、王侯貴族と年頃の娘たちで溢れかえっていた。それもそのはず、今宵は第四王子の花嫁を選ぶことも兼ねた舞踏会だからだ。国中の若い娘がいる家には王宮から招待状が届き、ほとんどの女性が参加しているらしい。どこもかしこも煌びやかなドレスで目が眩む。以前も似たような夜会に出席したことがあるが、白いドレスを着用する女性はデビュタントと呼ばれる社交界にデビューする貴族令嬢のようだ。
 ターゲットである第四王子に近づくため、潜入調査として舞踏会に参加しているサボはフレイヤをパートナーとして黒いタキシードに身を包み、主催者である国王の開会挨拶を聞きながらそのときを待つ。
 隣に立つ、凛とした横顔の彼女に目を向ける。今日のドレスは淡いブルーのロングドレスだった。ウエストの細さを強調したシルエットに裾の広がったスカートはよくあるパーティー用のドレスだが、胸元から肩まで大胆に肌が出ていたり、正面には存在感のある装飾が施されていたりと華やかさがありながらも上品で、彼女によく似合っていた。
 こういう場には慣れているのだろう、バイオリン演奏を披露したときよりも緊張感はないように見える。今日の彼女は特別なにかをしなければならないということもないので、一人の招待客として目立たないよういてくれればいい。ターゲットに接近して情報を聞き出すのは当然ながら自分の役目である。
 と、フレイヤが一点を見つめて不思議そうな顔をした。何を見ているのか彼女の視線の先をたどると、そこには開会宣言をする国王の脇に控えている四人の王子のうちの一人――ターゲットであるユミル第四王子だった。

「どうした」

 サボはフレイヤだけに聞こえるよう小声で話しかける。気づいた彼女が同じく小さな声で「なんだかあまり乗り気じゃないみたい」と王子に向けて言った。
 王から一番離れた位置に立つユミル王子の表情は、確かにどこかつまらなそうに広間の床を見つめていた。まだ十八くらいだろう、遊びたい年頃なのかもしれない。あの容姿では無理もないかと思いつつ、自分には一途に想う相手がいるのでまったく理解できないが。
 今回、彼がターゲットになっている理由は重罪とされている人身売買に手を染めているという情報が入ったからだ。人身売買と言えばシャボンディ諸島に存在するヒューマンショップが有名であるが、どういう伝手があるのか彼はそこの上役とやり取りする仲にあるらしく、海賊や山賊といった犯罪者を頻繁に輸送している。狡猾さで言えば、ルフト国王よりも上だというから侮れない。
 十分にわたる開会宣言が終わると同時にダンスの合図が言い渡される。広間の端に控えていたオーケストラ陣が演奏をはじめ、ゲストが一斉に踊り出した。

「とりあえず怪しまれねェようにおれ達も踊ろう」
「うん」
「お手をどうぞ、フレイヤさん
「ふふ、ありがとう」

 軽いお辞儀をして右腕を差し出し、フレイヤの左腕が絡まるのを待つ。細い腕が自分の手に組まれたことを確認したら、エスコートするようにダンスフロアへ向かう。すでに踊りはじめているカップルたちのすき間をぬって空いている場所へ。
 奏でられている音楽に合わせるようにステップを踏む。任務前に二人で何度も練習した基本ステップ。そしてスイングや上下の動き。社交ダンスといえばワルツだと言われて苦戦しながら練習した日々を思い出す。フレイヤには経験があるようで、少し練習しただけで感覚を取り戻したみたいに上達が早かった。
 左手は彼女の右手を軽く握り、右手は彼女の肩甲骨あたりにそっと添える。三拍子の優雅な調べに合わせてステップを踏みながらフロアを移動していく。
 彼女と踊る機会など任務でなれけばあり得ないだろうが、まるで世界が自分たちと音楽だけになったみたいにサボの視界には彼女以外目に入らなくなった。綺麗だと思う。今日の髪型は低い位置で髪をまとめ上げて、シルバーのパールが装飾されたアクセサリーが刺さっている。派手すぎないところが彼女らしい。上品だった。
 フレイヤは社交ダンスにもあまり良い思い出がないと言っていたが、今は楽しそうに踊っている。その訳が気になってステップを踏みながら彼女に尋ねた。

「えっ、そんなにわかりやすい顔してた?」
「ああ」
「ごめんなさい、任務で来てるのに」
「別に謝ることねェよ。招待客なんだしそのくらいのほうがいい」
「そうかな。……でも、もし楽しそうに見えてるならそれはサボがいるからだと思うよ」
「へ?」

 唐突に自分の名前を出されて、思わず素っ頓狂な声をあげてフレイヤを見つめ返す。ニコニコと楽しそうに踊る彼女の穏やかな表情に、本当に任務であることを忘れてしまいそうになる。
「ダンスはそんなに好きじゃなかったけど、サボと踊るのは楽しいし夢だったの。おとぎ話のお姫様になった気分」
 と、上がったり下がったり滑らかな動きをしながらフレイヤが笑った。その瞬間、サボは隙を取られて足の動きが疎かになり、ステップが合わず彼女がよろけて後ろに転がりそうになった。

「きゃっ――」
 フレイヤの短い悲鳴で反射的に腕が伸びたサボは、「っと……」彼女の腰を抱き寄せて支えたので事なきを得る。
「……悪い」
「ううん。私は大丈夫だけど、」

 フレイヤが覗きこんでくるのでとっさに顔をそらしてしまった。悪いことをしたわけではないが、かといって心の中を見透かされるのも困る。しかし、こうして考えている間も音楽は流れ続けているので立ち尽くしていたら怪しまれるだろう。そろそろ演奏も終わりに近づいていた。
 こうなったら――

フレイヤ、右手を出せ」急に言われた彼女が首を傾げるより早く、左手で彼女の右手を持つとそのまま引き寄せて屈みこみ、腰を抱いた。「左手を肩に乗せて」「まさかリフト!?」「ぶっつけ本番だ」「……ッ」フレイヤがひゅっと息をのむが、拒否している暇がないと悟って身を預けてきた。そのまま持ち上げて回りはじめるとすぐに右足を曲げて左足の膝裏におく。
 社交ダンスにはリフトと呼ばれる、男性が女性を持ち上げる技がある。しかし、初心者の自分たちが披露する機会はないだろうと練習では特にやらなかった。だから彼女もまさか土壇場ですることになるとは思わなかっただろう。
 しかし、適応能力が高いフレイヤはもう慣れているかのように華麗な姿勢を保ち、やさしい目でこっちを見下ろしていた。驚いていたくせにすっかり楽しんでいるようだ。
 回転するスピードを少し緩めて回りながら、サボは先ほどの彼女の発言を反芻する。
 "サボと踊るのは楽しいし夢だったの。おとぎ話のお姫様になった気分"
 別に自分がおとぎ話に登場するような王子様だとは思わないが、彼女の前ではせめてそういう存在でいられたらいいと思う。こんなことを言うと、コアラたちには「似合わない」と笑われるだろうから絶対に言わないが。

 こうしてワルツの演奏が終わり、踊っていたゲストたちの動きが一斉に止む。
 サボも同じように足を止めてから、ふうっとその場で深く息を吐いた。ようやく人心地がついた気分だった。フレイヤのほうといえば、名残惜しそうに手を離して寂しそうにしていた。そんな顔をされると困るんだが……。できればもう少し踊っていたい気分ではあるものの、任務があるために後ろ髪を引かれる思いでサボは彼女の身体から離れた。

「すみません」

 フレイヤと距離をとった直後、背中に声をかけられて振り返る。話しかけられる覚えはなかったが、顔を見て驚いた。金髪碧眼の優男で、今日の主役でもある人物。フリルのついた白いシャツに軍服のようなデザインのジャケットは金の刺繍によって宮廷らしさがうかがえる。そこに立っていたのはユミル第四王子だった。
 こちらから声をかけることはあっても、向こうから声をかけられる理由はないはずだ。動揺を悟られないようにサボは彼に向かって軽く会釈をしたあと、

「私に何か御用でしょうか」
「そちらの女性と躍らせてもらえないだろうか」
「え?」
「いや、君たちのダンスを見ていたんだ。随分と身長差があるカップルだと思ってね」

 王子の話では、社交ダンスの理想の身長差は大体十センチだという。自分たちのように三十センチ近く離れているカップルは珍しく逆に目立つらしい。たしかに周りを見てみると、男女の身長にさほど大きい差がないカップルばかりだった。
 数いる女性の中からフレイヤの滑らかな動きに心を奪われたらしい王子がぜひ彼女と踊りたいという。どうやら今日の招待客の女性は全員フリーだと思っているようで(もちろん花嫁候補として来ている女性はそうだろう)、自分も彼女にダンスを申し込んだうちの一人だと思われたらしい。本来なら断っているところだが、ここで拒否を示して王子の機嫌を損ねるのは得策ではない。
 サボは固まったまま不安そうにしているフレイヤに「頼めるか」と小声で尋ねた。はっとして彼女がゆっくり頷いたのを確認したサボは、王子に向かって「どうぞ」と彼女の隣を譲った。

「ありがとう。それでは……えっと、君の名前は?」
「あ、フレイヤと申します」
「ではフレイヤ嬢。こちらへ」

 王子が右手を差し出し、フレイヤの左手がそこに重なる。去っていく彼女が一瞬だけ振り返り、こちらを見て悲しそうな表情を作ったように見えたのは都合のいい解釈だったかもしれない。
 二人の背中を見送りながら、彼らの身長差も自分ほどではないにしろ二十センチ程度離れているように見えて釈然としない思いがあったが、サボはダンスフロアから離れて次の曲が終わるのを待つことにした。


*


 第四王子とダンスをしてくれなんて突然のことに驚いたものの、なんとか無事に済ませることができて、フレイヤはダンスフロアの隣に併設された小さなバーの隅でほっと息をつく。
 二曲目はスローなテンポのゆったりめな四拍子で、ワルツとはまた違った優雅さがある楽曲だった。王子がリードしてくれたおかげで難なく踊ることができたが、始終微笑みかけられるのもどうしていいかわからず曖昧な笑顔で返し続けていたら精神的に疲れてしまった。サボがパートナーであることを告げても驚きもしない。それどころか、「構わない。僕の妻にならないか」だなんてさすがにこの発言にはフレイヤも憤慨した。
 舞踏会において、パートナーがいる女性にしつこく言い寄るのはマナー違反だ。王子である彼がそれを知らぬはずもないので、きっとこれまでにも似たようなやり方でほかの女性に声をかけてきたのだろう。今回たまたま自分が目についただけの話だ。タイミングよくサボが間に入ってくれたおかげでフレイヤはこうして何事もなくひとり休憩している。
 そのままサボが王子を誘ってどこかに消えてしまったので、きっと任務に関する情報を搾取するために動いたのだろうと察した。ユミル第四王子の花嫁探しが舞踏会の名目となっているのに本人が大広間から姿を消すのはどうかと思ったのだが、残りの王子たちが臨機応変に対応していたのでよくあることなのかもしれない。第四王子に負けず劣らず、彼らもまた女性陣からの支持が厚いようだ。三人とも独身だというし、伴侶を探しに来た女性たちにとっては王族の称号が得られるなら誰でもいいのかもしれない。
 カクテルグラスに注がれたファジーネーブルを飲みながら周囲の様子をうかがう。ダンスフロアは出たり入ったりと比較的自由にゲストたちが行き来している。ワルツのほかにタンゴなどの王宮のイメージとはかけ離れた曲調の楽曲も奏でられ、舞踏会は大いに盛り上がっていた。一足先にホテルに戻ることもできたが、格式高い場所ではひとりで勝手に退出できないため、サボが戻ってくるまでは大広間で時間を潰さなければならない。
 フレイヤはオレンジジュースの濃厚な甘みに顔を綻ばせ、これなら酔わないだろうと二杯目を追加注文するためカウンターを挟んだ向かいで黙々と作業するバーテンダーに声をかけようとした。

「ねえ。ちょっとそこの貴女」

 直後、フレイヤの周囲を囲うように声をかけられ、いったん開きかけた口を閉じた。相手の顔を見るよりも先に嫌な予感がした。この手のパターンは以前にも経験したことがある。
 パーティーの主催者や王侯貴族に声をかけてもらうことがあるが、そういう相手は大体名家の令嬢たちから伴侶候補とされているのでできれば関わりたくないと思っている。そうはいっても、たとえば今回のようにターゲットになっている場合があるためまったく関わらないというのも無理な話だった。
 無視するわけにもいかず、フレイヤはくるりと体の向きを変えて応対する。

「はい」
「ユミル王子とはどのようなご関係ですの」
「……」やっぱり。悪い予感というのはどうして当たってしまうのだろう。
「最初に踊っていた金髪の長身紳士とも親密なようですし、どこの名家のご令嬢なのかと思いまして」

 中心にいる綺麗な赤茶色の髪をゆるく巻いた女性が鋭い目でフレイヤを見る。金髪の長身紳士はサボのことだろう。ここで話すのも悪いと思い、席を立って大広間を出た先にある小さな客間へ移動する。今はダンスや歓談といった思い思いに過ごしているゲストがほとんどのため、ほかの人間が出ていっても目立たないはずだ。
 客間にはソファとテーブルが一式、そして暖炉などこれといって目立つ調度品はないものの、すべてが特注で作られたであろうことがうかがえる高級品に、フレイヤは手を触れぬよう立って数人の令嬢たちと対峙する。

「わたくしは名家出身でもなければ、貴族でもありません。ルフト王国近海で有名な商人の付き人にございます。クウィンチ公爵家の子女、ジゼルさん」

 フレイヤは堂々とした出で立ちの淑女に向かって言った。彼女の名はジゼル・クウィンチ。爵位の第一位である公爵令嬢である。彼女の後ろに控える子たちも伯爵や子爵といった名だたる貴族の子女だった。粗相のないように振る舞いつつ、けれど自分の主張はしっかりしておく。そうでなければ招待客としての威厳が保たれない。
 ここでのフレイヤの役柄は敏腕商人(サボ)の付き人兼パートナーだった。貴族としての名声はないが、「業績のある商人」として国の要人とも取引がある設定なので彼女たちも名前くらいは知っているだろう。

「そう……けど、金髪の殿方がパートナーだというのならユミル王子とはせめてもっと距離をとるべきではなくて?」
「それは失礼いたしました。ただ、王子であるゆえに無下な態度をとることもできません。それにダンスの申し込み自体はパートナーの了承があれば問題ないですよね」
「そ、そんなこと私だって知ってるわよ! 一度声をかけられたからって調子に乗らないでよねっ」
「……」乗ってないし、別に王子には一ミリも興味ないのだが、言い返したところで彼女には伝わらないだろう。
「ともかく、ユミル王子には近づかないでもらえるかしら。所詮商人の付き人じゃ王子のダンス相手も務まらないでしょうし」

 せいぜいその商人とよろしくやりなさい。
 見下す(実際彼女のほうが、身長が高いので見下ろされる形になる)ように言ったあと、もう用はないという感じですぐに客間から出ていった。その方向を見つめながらフレイヤは深いため息をこぼした。

「疲れた……」
「なら、あの女の言う通りよろしくするかな」
「――!」

 背後に人の気配を感じて振り返ろうとした瞬間、ふわっと誰かに後ろから抱きすくめられた。つむじの上に体重がかかり、その人物の顎が乗っかっていることは明白だった。身動きが取れなくなったが、フレイヤにこんなことができるのは当然一人しかいない。「いつの間に入ってきたの?」「ついさっき、反対側の扉が開いてた。フレイヤの声が聞こえたから、また自分から危ねェことに首突っ込んだのかと思ってヒヤヒヤした」
 否定はできないが、絡んできたのは相手のほうからなので無視するわけにもいかなかったという事情を説明する。こちらが一人になったところを見計らって近づいてきたのだろう、もしサボがそばにいたら彼女たちは話しかけてこなかったかもしれない。
 彼はへェと相槌を打ったあと、こちらの身体を離してくるりと回転させた。彼と改めて向き合う形になったフレイヤはそういえば任務はどうなったのだろうと思い至る。ユミル王子とは方がついたのだろうか。

「終わったよ。ありがとな」
「え?」
「任務が終わったかどうかだろ? 顔に書いてある」

 クスクス笑ったサボがこちらの両頬をむにっと軽く引っ張った。「よし、用も済んだことだしこんなつまらねェ舞踏会は抜け出すか」続けて言ってから、ぱっと手が頬から離れていく。引っ張られた箇所を擦っているうちに、彼の手によって今度は腕を引っ張られて体が前につんのめる。
「わっ、サボちょっと――」
「こういうの、ちょっと懐かしいよなァ」
「懐かしい?」
「おれ達、こういう貴族の嗜みみてェなことはほとんど途中で抜け出してただろ?」

 言われて思い出すのは幼少時代の頃だ。互いにアウトルック家、カートレット家にいた頃、こうした盛大なパーティーはしょっちゅう家の庭や大広間で開催された。子どもの自分に大人の話はつまらないし、かといって同年代の子たちとは話が合わない。そういうとき、決まってサボとこっそり抜け出して遊んだのだった。もちろんカロリーナに見つかって怒られたけれど。
 そうした淡い思い出に心を弾ませていると、「けど、お前がこんな綺麗に成長しちまったから妙な輩が言い寄ってくるのは迷惑だ」急に彼の態度が一変して声色が低くなった。直後、ふわっと身体が浮いてサボに抱え上げられたフレイヤは声にならない悲鳴をあげて、彼の肩にしがみつく。

「急になにして……」
「よろしくするのは帰ってからだ。あの変態王子に触られた箇所を全部上書きする」

 こちらの身体を抱え直したサボは、なぜか扉側ではなくバルコニーのほうへ向かっていく。まさかと思ったのも束の間、彼は軽々と外から階下へ降り立った。叫ぶ暇もないほどあっという間の出来事で、フレイヤは一言も発することができず、ただただ彼にしがみついて耐えるばかりだった。
 それなのに、心はどうしてか弾んでいて楽しい気持ちで満たされている。小さな夜の逃避行だ。

2024/08/14
ふぉろわ~さんリクエストより「潜入任務で社交ダンス」